こんにちは 荒蒔です。
今回は、償還材料のコスト削減のうち、循環器領域について紹介します。
『分析』『戦略』『実行』とこの3つについて、どのようにすればよいか?
解説していきたいと思います。
償還材料とは、
国が決めた代金(償還価格)が付いており、
保険請求する事ができる診療原材料の事です。
一般的にメーカーは、この償還価格を規格に、いくらか割り引いて病院に提供します。
この、償還値段と提供値段(病院側から見れば購入費用)の差は、
病院の利益になります。
一例を挙げれば、ある種類のペースメーカーの償還価格は、1個558000円です。
それを病院が、500000万円で買い物した時(割引率10.4%)、
病院は58000円の差益を得る事ができます。
加えて、償還具材は、非償還具材よりも、高価で専門性が高い性質をもつため、
より戦略的に、コスト削減を進める必要があります。
分析
循環器領域の償還材料を、使いどころ別に、分析し、同種同効品をまとめると、
多くの病院では、ペースメーカー、冠動脈ステント、血栓除去用カテーテルといったものが、
多く使われております。
心臓血管外科がある病院では、人工弁や人工血管も、コスト削減対象になります。
ところで、
「うちは年間購入数が少ないから交渉が難しい、、、」と考えていませんか?
もちろんですが、購買数が多い事は、価格交渉において有利になりますが、
少ないからといって不利になる事はない事を認識しましょう。
年間数十個の買い物でも、交渉次第で、安価な調達単価を実現可能となります。
戦略
分析結果をもとに、病院としてのコスト削減戦略を決めます。具体的には、
「何を」
「誰から」
「どのように(いくらで)」
購入するかについて、循環器内科や、心臓血管外科の医師との、調整を通して、
あなたの、病院の規模に、あったものを選択して下さい。
ポイントがありますので、確認いたしましょう。
1)医師との調整前に整理しておく
「何を」:コスト削減に取り組む領域、自院の製品数、コスト削減の可能性
「誰から」:代替品の有る無し、その代替品のマーケットシェアと市場価格
「どのように」:目標購入価格
2)医師の同意を得るために
コスト削減は、医者と協力しながら進めていくものです。
医師の同意を得るためにも、何個かポイントがあります。
ミーティングは、関連者のみの少人数で行い、相手方は、対象診療科の診療部長のみ、
もう一方は、プロジェクトメンバー2〜3人が良いでしょう。
費用削減の流れを把握した、副院長クラスの医師に同席してもらう事が極意です。
こだわる訳を検証し、コスト削減対象の製品について、
医師のこだわりの、有る無しを確認してください。
こだわりのない製品については、製品の標準化、
あるいはメーカーの切り替えを、前提にした戦略を実行しましょう。
こだわりのある製品については、その理由を明らかにしてください。
使用して意味のあるものや、操作性、代替品がないかなど、
医療の質に関連する訳であれば、医師の考えを尊重しましょう。
その代わり、その製品自体の価格交渉に、協力する事を確約してもらいます。
反対に、明確な理由がなかったり、長年の付き合いだから、といった理由であれば、
考えを改めて、もらうよう働きかける必要があります。
目標価格を決め
「市場の平均代金まで下げる」
「目下より10%削減」
といった、具体的な目標金額を決めましょう。
実行
1)A病院の冠動脈ステントのコスト削減事例を紹介します。
2)A病院の循環器内科は、メーカー3社(A社、B社、C社)の冠動脈ステントを使用していた
3)院内の使用数量シェアはA社:B社:C社=40:40:20
4)市場価格を調査したところ、3社とも平均価格から10~20%高く購入していた
5)医師は特に製品にこだわりなく、なんとなく平等に使っていた
コスト削減の流れ
1)ディーラーに事前に話を通したうえで、
既存メーカー3社の担当者を順に病院に呼び出します。
2)診療部長と各メーカー担当者の面談をセッティングし、
診療部長から直接、契約見直しの件を伝えます。
3)2週間以内に見積書を提出してもらいます。
4)3社とも目標価格に達していなかったため、最も非協力的なC社を切り、
A社・B社と、院長・事務長同席のもと再度交渉します。
この時、院長・事務長は、メーカーにプレッシャーをかける悪役を演じ、
診療部長と購買担当者は、
「目標価格が実現できたら、購入量を増やすことができる」と助け船を出します。
5)結果的に院内の使用数量シェアはA社:B社=80:20となり、
冠動脈ステントだけで10%(約1,000万円)のコスト削減に成功
といった流れです。
循環器領域の償還材料は、どの病院も比較的購入金額が大きく、
成果が出る可能性の高い領域です。
どこから手をつければよいか分からない場合は、
まず循環器領域から取り組んでみてください。