こんにちは 荒蒔です。
本日は、整形外科のどのようにして、コスト削減をしたら良いか?
を『分析』『戦略』『実行』の3つの観点から見ていきたいと思います。
『分析』
整形外科領域は、循環器と並んで、年間購入金額の大きい領域の一つです。
整形外科領域でも、コスト削減するためには、3つの注意すべきポイントがあります。
①製品の種類が多い
人工股関節に使う、コンポーネントや、大腿骨頸部固定用プレートといった、
比較的大きい製品から、ネジや釘といった小さい部品、骨セメントなど、
製品の種類が非常に多い部門です。部位別または、メーカー別にまとめましょう。
②必ずセットで使用するものがある
例えば、病院の人工膝関節置換術では、
「大腿骨コンポーネント」「インサート」「脛骨コンポーネント」をセットで使います。
各セットの製品は、通常同じメーカーのものを使用するため、一部だけ、他社製品に、
切り替えることはできません。手術部位や術式によってセット化されているため、
その視点で分析する必要があります。
③その病院オリジナル製品がある
有名な、整形外科医がいる病院では、その先生が、大学で開発した、
オリジナル製品を使っている場合があります。いわば特注品です。
市場価格も存在せず、コスト削減の難易度が上がるため、その存在を、
事前に確認しておく必要があります。
『戦略』・『実行』
分析結果をもとに、病院としてのコスト削減戦略を決めます。何度も言ってますが、
具体的に、
「何を」 「誰から」 「どのように(いくらで)」
購入するかが、ポイントになります。
しかし、整形外科は、他の部門と違い、比較コスト削減が難しいと言われます。
理由は3つあります。
①医師のこだわりが強い
整形外科医は、大工のような職人気質の先生が多く、使い慣れた材料を変えることに、
難色を示したり、医局の方針で、メーカー変更する場合もあります。
②オリジナル製品の存在
その病院が、オリジナル製品を使用している場合は、代替品が存在しないことになります。
③ほぼ寡占(かせん)市場
例えば、人工膝関節のインプラントメーカーシェアは、上位3社で約8割を占め、
売り手であるメーカーのパワーが強い市場です。
このように、コスト削減難易度が高い領域ですが、院内の、整形外科医師との
ミーティングで、次の3つをテーマにして話し合い、実行してみてください。
1.同じ部位の手術で、複数メーカーの製品を使用している場合は、 集約することで、スケールメリットを出す
メーカーを集約するだけでなく、今後の手術件数増加の見込みも立てば、
購入数量増加が期待できるため、現在より購買力を高めることができます。
2.既存製品より、新規購入製品の交渉を優先する
異動などで、新しい医師が赴任してきた際、その先生の好みの材料を、
言われるがまま購入している病院は多くあります。
まずは、現在病院で、使用している材料を使ってもらえないか交渉しましょう。
難しい場合は、購入予定の製品の市場価格を必ず調査し、
出来るだけ、最低価格での購入をメーカーと交渉してください。
一度決まった購入単価を下げるのは難しいですが、
最初であれば成功する可能性は上がります。
3.診療報酬改定で償還価格が下がったタイミングで交渉する
病院は、償還価格が変わる、2年に1度の診療報酬改定があります。
購入単価引き下げのチャンスとなり、医療費抑制のため、近年の改定では、
常に償還価格が引き下げられています。その引き下げ率に合わせて、
購入単価も下げるようメーカーに交渉しましょう。
いかがでしたか?あなたの病院にも、どこかコスト削減できる所があるかもしれませんが、
絶対に、人件費削減だけは、気おつけて下さいね。